Column.01-1:栽培方法が違うと野菜も違う① 色々な栽培方法について| LIM-CLASSO | 東京・築地を拠点に個人宅向けのお野菜の宅配BOXと飲食店さまなど向けのお野菜の業務卸やってます♪ 無農薬・無化学肥料で栽培された農家さんの気持ちのこもったお野菜をたくさん扱っております。

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Column.01-1:栽培方法が違うと野菜も違う① 色々な栽培方法について

“野菜のことを知ってみたい” という方々へ。まずは色々な栽培方法の特長からお伝えします。

はじめに

食の楽しみや大切さは、生きるための重要な要素だと思います。
ですが、”日常で食べるものがどのような素性の食べ物なのか”ということを知っている人は少ないように感じています。
食べ物についての正確な知識を得るためには膨大な量の情報を必要とすることは否めませんが、少しでも多くの情報を得ていただければという想いより、気軽に読めるための導入編をはじめ、専門的な観点での追及にも言及していければと考えております。

本編は導入編として簡単な概要から気軽に情報を得られるためにと書かせていただきました。
社会事情から人々の想いまでが複雑に混ざり合う食と農業の世界ですが、まずは、慣行栽培、有機栽培、自然栽培など基本的な農業の種類と概要、農薬と肥料のことについて、次いで、おいしい野菜について、生活や農業とは切っても切り離せない環境に至るまでを簡潔に記しています。
当コラムを通じて、皆さまそれぞれの楽しい食生活を見つけていただければ幸いです。
まずは本編より読み進んでみてください。

一般的な野菜とは・・ ~慣行栽培

ちまたで売られている野菜のほとんどは、農薬を使用されて作られた野菜です。
スーパーなどで一般的に売られている野菜には「農薬を使用して育てた野菜です」とは書いてありません。
逆に、農薬を使用せずに作られた野菜には「無農薬」「オーガニック」「有機」などといった表示がしてあります。
無農薬のほうが身体にいいんでしょ?といったイメージを持つ人も多いかもしれません。
「減農薬」「特別栽培」「こだわり野菜」などなど、様々な表示がありますが、その詳細を知っている人は少ないと思います。
「食」は、人が生きるために欠かせないとても大切なものです。
だからこそ、身体の健康から自分たちが住む地球の環境まで、少しでも多くの情報をお伝えできればと思います。

身近な野菜は慣行栽培の畑から

農業用語に「慣行栽培」という言葉があります。
「慣行」というのは、”以前からのならわしとして通常行われること”という意味合いです。
つまり、最も一般的とされる農業のことを指します。
現在、日本の農産物総生産量のなかで慣行農業が占める割合は99%以上とも言われています。
では、慣行栽培とは一体どんな栽培なのか?
まずは、その点から説明していきたいと思います。

※記載に際しまして。野菜や米、果樹など、農産物にも様々な種類があり、その栽培方法も多様ですので、本文では野菜を主に取り上げさせていただきます。ご了承ください。

野菜を栽培するのに必要なもの。
まずは、土と種が必要です。
畑に種をまけば芽が出て野菜が育っていきます。
ですが、やせた土地に種をまいても野菜がたくさん取れないので畑に肥料を入れます。
肥料がたっぷり入った畑は肥えていきますので、野菜は大きく育っていきます。

まずはここまでが基本です。
土に肥料を入れて野菜が育つための準備をしたら、種をまいて野菜を育てる。
仕組みはとても簡単です。
ですが、実際はそんなに簡単ではありません。
野菜が育つ過程で虫がついたり、病気になったりもします。
せっかく育てた野菜が虫や病気に侵されていくのを黙ってみている訳にはいきません。

そこで登場するのが農薬です。
野菜に害虫がついたら殺虫剤を散布します。
野菜が菌に侵されて病気になったら殺菌剤を散布します。
殺虫剤は的確に使用すれば害虫を殺すことができますが、野菜の病気は殺菌剤を散布しても治らないことが多いので、病気に侵される前に病気の予防剤を定期的に散布して病気を未然に防いでいきます。
これでひとまず野菜は守られました。

ですが、まだ問題があります。
それは草です。
「草さえ生えなければ農業は楽なんだけどな~」と思う農家さんが大勢いらっしゃるほど、草は大きな問題です。
野菜以外の草は”雑草”と呼ばれ厄介者扱いされます。
雑草は放っておくと野菜よりも早く生長しますので、育てている野菜が雑草の勢いに負けてしまって育たなくなってしまいます。
ですので、草取りをして雑草を排除するのですが、それはとても大変な作業になります。
それはもう、野菜を育てることが仕事なのか、草を取るのが仕事なのかと考えてしまうほど、とても大変な作業になります。

そんな大変な作業をサポートしてくれるのが除草剤です。
雑草に除草剤をかけると、早いもので翌日には雑草の元気がなくなって枯れていきます。
雑草を手で抜いていく作業と、除草剤をかけて雑草を枯らす作業とでは、手間にして10倍以上もの違いがあります。
除草剤を使用すると、栽培がとても楽になります。

ここまでの工程を基本形として野菜は栽培されていきます。
その他に土壌消毒という工程が用いられます。
土壌消毒は文字通り土を消毒します。
ガス化する農薬を土の中に入れて、土の中にいる害虫や雑草の種、病気の元になる微生物などを殺していきます。
土壌消毒で使われる農薬はとても強い毒性を持つものが多いので、土の中の生き物たちを無差別に排除していきます。


虫の被害

インゲンの農薬散布

 

右にここまでに説明した慣行栽培の特徴をイメージ化した図があります。
これを見ればお分かりかと思いますが、栽培する野菜以外の生き物を排除する方法がとられています。
大規模な栽培をしている畑を見るとわかるのですが、慣行栽培の畑には、栽培に使用するビニールなどの資材を除くと、ほぼほぼ土と野菜だけになります。

虫 ⇒ 野菜を食べる = 害虫 ← 殺虫剤
菌 ⇒ 野菜を侵す  = 病気 ← 殺菌剤、予防剤
草 ⇒ 野菜の邪魔  = 雑草 ← 除草剤

農業の現場に関わる機会がない人が農業に持つイメージとして、自然や生き物と戯れながらのんびりと野菜を育てている牧歌的な世界を想像するかもしれません。
実際に筆者もそうでした。
農業って~、農家って~、畑には新鮮な野菜があって、大らかな気持ちの農家さんが太陽と一緒に仕事をして、自然が豊かで~、といった想像でしたが、実際は大きく違いました。
野菜という生きた食べ物を作る過程で、農薬という生き物を殺すための薬剤をこんなにも使うのかと衝撃を受けるのと同時に、大きな矛盾を感じました。
その矛盾はそのまま、20歳代時の筆者のテーマになりました。

「如何に効率よく大量に野菜を安定生産できるか」このことに特化したのが現在の慣行栽培ともいえます。
ではなぜ、現在も慣行栽培が占める生産量の割合が多いのでしょう。
それは、第二次世界大戦中から戦後にかけて食料が不足していたことに発します。

戦後の食糧不足の頃、アメリカから導入されたのが農薬と化学肥料でした。
食糧不足の日本にとってピッタリなツールです。
この時から農薬と化学肥料を使用した現在の栽培が主流になります。

「国民の食糧をまかなうために」を合言葉にしたかどうかは分かりませんが、実際に年配の生産者さんからこの言葉を何度も聞いたことがあります。
時代はこの後、高度経済成長時代、バブル期、そして現在の飽食の時代へと続きます。
食糧の安定的な確保を行うために、市場流通が整えられ、より安く安定的においしいものをつくるために。
事実として、国民の食糧をまかなうことができました。
慣行栽培が、戦後の日本を食糧不足から守ったといえるでしょう。

農薬と化学肥料を使わなくても野菜はできる ~有機栽培

初めて有機栽培の畑を訪れたとき、慣行栽培での常識とは大きな違いが数多くあって、とても衝撃的でした。
使用する肥料の種類と量の少なさ、野菜の色や大きさ、虫がつかない事実等々。
なかでも、野菜の味がこれほどまでにおいしいものかと感じた衝撃が最もたる部分でした。
慣行栽培しか知らない筆者は、”信じられない”、”ありえない”といった思いの連続でしたが、目の当たりにしている有機栽培の畑は事実として目の前に存在していました。

有機栽培が慣行栽培と違う点は、農薬、除草剤、化学肥料を使用しないで栽培を行うことです。
(一部、有機JAS規格で使用が認められている農薬があります。)
堆肥や米ぬかをはじめとした有機質の肥料のみを使用して栽培を行うのが有機栽培です。
虫や病気、草から野菜を守る術は有機栽培生産者によって様々ですが、農薬や除草剤に頼ることはしません。
具体例としまして、以下のような方法を用います。

  1. 細かい網目のネットを野菜にかけることで、虫がつくことを物理的に防ぐ。
  2. マルチというビニール資材を利用して、農薬を使用せず太陽の熱で草の種を殺す。
  3. 時期を見極めて栽培を行い、虫や病気が発生しない旬の時期の栽培に努める。
  4. 肥料を与え過ぎると虫や病気が多く発生するので、少量のみを使用する。

長年有機栽培をしている生産者さんでも、野菜に虫や病気が発生することはよくあります。
そのような時、生産者はどうするかというと、あきらめます。
対応する手段がないためです。
農薬を使用しない栽培をしているので、虫や病気が発生するようなトラブルの時でも農薬は使用しません。
せっかく丹精込めて育てた野菜が虫や病気にやられてしまうことに対して、農薬が使えたらな、とも思うこともあるかも知れませんが、使用しません。
あきらめて何も手段を講じない代わりに原因を追究します。
なぜ虫が発生したのだろう。
なぜ病気になってしまったのだろうと。そしてそれを自身の糧にしていきます。

幅広い有機栽培

有機栽培と一括りに言っても様々な栽培スタイルがあります。
端的に括ると、慣行栽培よりの有機栽培から自然派な有機栽培まで幅広くあります。
慣行栽培よりの有機栽培には農薬を使用する生産者も含まれます。
有機JAS規格で使用が許可されている農薬です。
つまり、慣行栽培よりの有機栽培は、野菜以外の生き物を排除する方法を選択した栽培スタイルに近くなります。

一方、自然派な有機栽培というのは、農薬を一切使用しないことはもちろん、上記1~4の野菜を守る術の内、1と2すらも行わずに栽培します。
こちらは、野菜以外の生き物を排除しない方法を選択した栽培スタイルになります。
虫や微生物、草に対して、共存する方法を選択しています。
現状これらの栽培方法は”有機栽培”として一括りになってしまいます。
ですが実際に、排除する栽培スタイルと、共存する栽培スタイルとに分かれていて、出来る野菜も全く異なります。

自然派有機栽培のさらに先 ~自然栽培

堆肥などの肥料を全く使用せずに栽培をする自然派の有機栽培のことを”自然栽培”と定義されています。
無肥料、無農薬、無除草剤での栽培になります。
(畑に生えた草をそのまま畑に入れることは、肥料を与えることに含まれないようです。)
完全に、野菜以外の生き物を受け入れた栽培ともいえるでしょう。

えっ、肥料すらも使わないの??と、驚いたのは筆者だけではないはずです。
本当に、肥料を使用しなくても野菜は育つのです。
しかも、虫や病気にも負けずに、とてもきれいな野菜ができます。

何故、肥料が無くても育つのかと、虫や病気の被害もないのだろうかと、とても大きな疑問として感じられますが、実は、答えは皆さんのすぐ近くにあります。
それは、人の手が入ることなく自然に生えた草木です。
肥料を与えられることなく、農薬をかけられることもない自生している草木はどれも大きく育ちますし、虫や病気の害をほとんど受けていません。
それらと同じようなことが自然栽培の畑で起こっていると思えば不思議ではないですね。

自然栽培のさらに先

自然栽培よりも自然な野菜。
それは、自生した野菜になります。
つまり、勝手に生えている草などがそれに当たります。
こうなると、人間の観点からしてみれば栽培ではなく採集になります。
山へキノコを採りに行くことと同じです。
ノビルや自然薯、タケノコ、フキノトウなどの野草をはじめ、キノコ類、果実類など、自然と生えている食べられるもの全てがそうです。

それぞれの栽培の違いについて


上記は、各栽培の違いをまとめた表になります。
各栽培のなかでも様々な栽培方法がありますので、一概に全てをこの括りに則るものではありませんが、簡単に総括しました。

慣行栽培、有機栽培、自然栽培、それぞれに一長一短があります。
化学肥料、農薬、除草剤の使用を度外視すれば、少ない労力で多くの野菜を生産できる慣行栽培は秀逸です。
流通価格も安くなります。
一方、自然栽培は、慣行栽培の逆をいくことになります。
では、有機栽培や自然栽培の良い部分とは何でしょうか?

*注意* とてもデリケートなことなので

有機栽培や慣行栽培の良い部分を取り上げるにあたって、つまるところ、食味と安全性、環境配慮という点が主なポイントになっていきます。
ですが、これらの内、食味と安全性については一概に決めつけられない現状があります。
食味の良し悪しは人それぞれに違いますし、人には食べ物の好みというものがありますので判断には個人差があります。
安全性についても、法律上使用が許可されているものについて、国の機関で安全性が確認されたうえで使用が許可されているものであるわけですから、それを全面的に否定することはできません。
あくまでも実際に起こっている事象と、筆者の経験を元に綴らせていただきます。ご了承ください。

続き 栽培方法が違うと野菜も違う②