Column.01-2:栽培方法が違うと野菜も違う② 有機栽培と自然栽培の長所(食味・安全性・環境)について| LIM-CLASSO | 東京・築地を拠点に個人宅向けのお野菜の宅配BOXと飲食店さまなど向けのお野菜の業務卸やってます♪ 無農薬・無化学肥料で栽培された農家さんの気持ちのこもったお野菜をたくさん扱っております。

Tweet about this on TwitterShare on Facebook
Column.01-2:栽培方法が違うと野菜も違う② 有機栽培と自然栽培の長所(食味・安全性・環境)について

有機栽培や自然栽培の良い部分

有機野菜や自然野菜の良い部分としてポイントになる「食味」「安全性」「環境配慮」について、これらを単純に分かりやすい表現にすると以下のようになります。これらを順にフォーカスしていきたいと思います。

食味   = おいしさ
安全性  = 健康害の有無
環境配慮 = 地球にやさしいかどうか

食味=おいしさ

先にも挙げた通り、おいしさとはとても曖昧なものです。
甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱい等々、人それぞれの好みがあります。
実際に野菜のおいしさを判断するポイントとして、甘い ⇔ 甘くない、味が濃い ⇔ 味が薄い、柔らかい ⇔ 硬い、といった部分で評価されることが多いようです。
とても分かり易い判断ポイントですが、おいしさというのはそれだけではありません。
風味、香り、雑味、エグ味等々、複雑に混ざり合う要素の総合的な形として判断できます。
もちろん、先述した、甘い、味が濃いなどの要素は、おいしさを感じるための大きな役割を占めていますが、おいしい野菜の判断はそれだけではないようです。

嫌な感じがしない

おいしい野菜に出逢ったとき、今まで当たり前に食べていた野菜は何だったのだろうと感じることが多くありました。
エグ味の無い味わいをはじめとした食べたときの不快感がないことに衝撃を受けます。
シュンギクやホウレンソウなどは、一般的には生では食べられない認識があると思います。
生で食べると、強い苦味とエグ味が口いっぱいに広がってしまって、おいしくないと感じるからです。
ニンジンやピーマンを苦手で食べられない人も多くいると思います。
ニンジン特有の臭味やピーマンの苦味と臭味があるため、嫌いな食べ物とされやすいですね。

これら、野菜を食べたときに感じる”不快要素”の無い野菜は、有機栽培や自然栽培の畑では当たり前に栽培されていました。
(有機栽培の中では全てがそのような野菜ではありませんでした。詳細は後述していきます。)

生で美味しく食べられるシュンギクやホウレンソウは、香りが高く、透き通ったピュアな味わいの中にそれぞれの風味や味がダイレクトに感じられます。
大人でも苦手で食べられない人が多いニンジンでは、ニンジンが嫌いで絶対に食べなかった3歳の子供が畑でニンジンをモリモリ食べる姿に親が驚いてしまうなど。
そのような事が多々起こるのを目の当たりにしました。
これらの野菜には、おいしいと感じられる味を邪魔する”不快要素”そのものがないので、今までに気が付くことが出来なかった野菜本来の味を味わうことができるのです。

野菜が変わると料理も変わる

不快要素の無い野菜は、とても繊細できれいな味や香りがします。
ニンジンは、優しくほのかな風味のなかにサラサラと煌めくように感じる硬いミネラル感を感じられますし、ルッコラでは、野趣あふれる強い風味がサッと通り過ぎたあとにまろやかな旨味を感じることができます。
野菜を食べたときに、きれいで華やかな光景が小さな世界に広がっていきます。

とても繊細なこれらの味は、生かすも殺すも料理次第です。
不快要素がある野菜を使う前提の料理レシピそのままに、不快要素の無い野菜を料理したらどうなるでしょう。
不快要素がある前提での料理レシピは、その料理がおいしいものであればあるほど、不快要素を消すための工夫が凝らしてあります。
結果として、不快要素を消す工夫が、野菜が持つきれいな風味を殺してしまうことに繋がってしまいます。
生かし方は、殺し方の逆です。
臭味などの不快要素が引き立ってしまう調理方法が、不快要素のない野菜では良い風味として生きてきます。

農薬の安全性について

農薬には様々な種類のものがあります。
原料として、化学合成物質のものが主として多くラインナップされています。
近年では生物由来の農薬も存在します。
農薬は厳しく定められた農薬取締法という法律に則り使用されます。
使用に当たっては、使用する作物、使用回数、使用量、使用希釈倍率、収穫前日数などが農薬の種類ごとに決められていて、生産者はそれらを守り使用していきます。
安全性を向上させる目的で農薬取締法は制定されていますので、法律上は安全です。

ですが、あくまでも法律上の話であって、現代の科学で証明された範囲であるということです。
農薬も日々新しい商品が開発される一方で、毒性が問題となり姿を消した農薬も数多くあります。
農薬は、虫、菌、微生物、草などの生き物を殺す薬剤であって、殺す対象の生き物からすれば毒になります。
人が服用する薬と同じくして、”薬が毒に成り、毒が薬になる”のことわざ通り、紙一重な存在といえます。

実際に農薬の散布を幾度となくしてきましたが、散布中に気分が悪くなることもよくありましたし、農薬散布をした日の晩酌は悪酔いすることが多々ありました。
その上で、農薬は少なくとも身体に良いものではないという認識と、同時に、食べるために栽培している野菜に使用していいものではないという認識が筆者にはあります。
実際に、農薬を使用する生産者の中には、自身で農薬を使用して栽培した野菜に対して「こんなもの食べたくない」と言い、自家用の野菜を別の畑で無農薬栽培するケースも多く見られます。

肥料分は植物の食糧 多すぎると健康害に繋がります

農薬を使用した野菜がおいしくないのは、農薬を使用したからじゃないんですか?と、聞かれることが度々ありますが、実際は違うようです。
基本的に農薬は、植物が生長するためのベースになるわけではありません。
あくまでも、虫や病気から野菜を守るために使用するもので、実際、植物の生長には土が大きく影響します。
人に例えると、肥料を含めた土は食料であって、農薬は薬です。
ですので、身体を構成するのは食料、すなわち土がその役割になります。
(実際は、植物は光合成によって炭素同化を行い空気中の炭素を使って身体を構成していくシステムがあります。)

様々な生産者や畑を見て多くの野菜を食べましたが、その土地の環境や土質を考察から除いた場合、肥料の種類と量が野菜の味に直接的に影響していることがわかりました。
特に肥料(窒素類)の量は、野菜のエグ味をはじめとした不快感に直結します。
野菜に肥料を多く与えると、野菜は大きくなり色も濃くなります。
それと比例して、エグ味や不快な味も増えていきます。

これは野菜の肥満度合いのようなもので、高カロリーな肥料をたくさん摂取した結果、肥満体になってしまったことによります。
このような肥満体の状態では、野菜の健康状態も悪く、野菜体内の成分バランスや成分量も良好な状態ではないといえます。
ブクブクと太らされた野菜を人が食べても、その栄養価には疑問がありますし、何より、植物の肥満の原因になった高カロリーな肥料の多くは硝酸態窒素であって、発がん性やメトヘモグロビン血症など、人体にとって有害な成分になります。
EUでは1997年に、ホウレンソウとレタスに含まれる硝酸態窒素量に基準値を設定する取り組みが行われていますが、現在のところ日本では大々的な取り組みは行われていません。

食味と安全性はリンクする

たくさんの高カロリー肥料を摂取して育った肥満野菜は、虫がつきやすくなります。
どうやら野菜自身の体臭が強くなって、虫を呼び寄せてしまうようです。
結果として、殺虫剤などが必要になってしまいます。

高カロリー肥料過多 ⇒ 肥満野菜(体臭キツい) ⇒ 虫が寄ってくる ← 殺虫剤

ですので、「農薬を使用した野菜がおいしくないのは、農薬を使用したから~」ではなく、「農薬を使用せざる得ないほど高カロリーな肥料を与え過ぎたから」というのが正解といえるでしょう。
高カロリー肥料の与え過ぎが農薬の使用を呼び、食味の悪い形となって食卓へ届くことになります。

高カロリー肥料過多 ⇒ 肥満野菜(体臭キツい)  ⇒ 虫が寄ってくる ← 殺虫剤
                (エグ味が強い) ⇒ おいしくない     ↑安全性??
                (硝酸態窒素)  ⇒ 安全性??

高カロリー肥料を極少量使用の栽培、または、無肥料栽培である自然栽培では、野菜が肥満体にならないので虫が寄りにくくなります。
全く虫がつかないわけではないのですが、無農薬でも栽培できるほどで済みます。

環境配慮=地球にやさしいかどうか

肥料と農薬は環境にも影響を及ぼします。
過度に撒かれた肥料は、植物に吸収されることなく雨水とともに地下へ染み込んでいきます。
結果として、地下水の汚染を招きます。
現在、井戸水内の硝酸態窒素含有量が基準値を超えているため飲み水として適さない地域が多くあります。
飲み水として適さない理由が硝酸態窒素のみである場合が多く、その原因は地下へ流亡した肥料成分や家畜の糞尿です。
特に農業が盛んな平野部でその傾向が強いようです。

また、硝酸態窒素は微生物の生物反応によって亜酸化窒素という形になります。
この亜酸化窒素は、二酸化炭素の約300倍もの温室効果ガスであり、1997年に採択された京都議定書によって排出規制が設けられています。
これらの実情は、はっきりと原因が分かっていながらも改善されない問題として現在も残っています。
普段の生活では気づきにくいことかもしれませんが、これらの環境問題は実際に私たちの生活にも影響しています。

下の図は、水の循環をまとめた簡単な図になります。
蒸散した水は雲になり雨となって地上へ降り注ぎます。
地上へ降った水は、山や大地に染み込んで地下水になる他、地上を流れて湖や海へ流れ出ます。
様々な経路を辿って循環する水は、地球の生命全てにとって基礎的な役割を果たします。

水は循環しているので始まりも終わりもないのですが、水としてのより純粋な状態を始まりとするのであれば循環経路のスタート地点は蒸散になります。
反対にゴール地点は海になります。
蒸散したばかりの水は純度の高い状態ですが、再び海に還る旅の中で様々な物質を運んでいきます。
山や大地から生み出された良質なミネラルが海に運ばれると、海は豊かになっていきます。
山を伐採してしまうと山の生命量が減り、結果的に良質なミネラルが減ってしまうため、その水が流れ込む海は豊かさを失っていくようです。

汚染という観点からも、水は運び役といえます。
基本的に川の上流部はきれいな水ですが、下流に行くほど汚染されています。
例えば、とある無農薬栽培の田んぼがあったとします。
田んぼの脇にある水路から水を入れてお米を育てていますが、その水路を上流まで辿っていくと巨大なゴルフ場があります。
ゴルフ場には池がいくつもあって、それらの池が田んぼの水路へ水を供給していました。

さて、どうなるのでしょう。
ゴルフ場では芝生を育てるために化学肥料と除草剤を使用しています。
そのような場合、無農薬栽培のお米は安全なのでしょうか?
化学肥料や除草剤は微生物によって徐々に分解されますが、あまりにも使用量が多量であった場合、田んぼのお米にも影響は出てくると考えられます。

結局のところ、上流部に汚染源がある場合、汚染源より下流部は汚染されてしまいます。
先ほどの例のように、最上流部の良い環境へゴルフ場や工場が建設されていることはよくある事例です。

汚染を防ぐには、汚染しないことが最も良い方法です。
しかし、汚染されてしまった事実があるのであれば、汚染された状況を改善するための方策を取らねばなりません。
特定の有害物質を化学的な手段によって無毒化することができるかもしれませんが、有害ではなくなるだけで、環境が改善されたとはいえないですね。

このような場合に用いられるのが微生物です。
下水処理場や、下水設備が行き届いていない住まいに設置されている浄化槽も微生物の力に頼った浄化システムです。
自然界には様々な微生物がいてその作用も様々ですが、自然豊かな環境になるほど浄化作用も大きくなりますので、無農薬栽培で生き物を生かしている畑であるほど野菜の安全度も高いといえます。
環境に優しいということは、巡り巡って私たちの生活を豊かにすることです。

まずはここまで

ここまで簡単に説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
まずは、大まかな全容をお伝えさせていただきました。
まだまだ各項とも、お伝えしたい情報がとてもたくさんありますし、各項の要素がリンクし合った事象が現実の事例として数多くあります。
この後は、各項をより深く掘り下げた説明や、様々な実例を取り上げていきたいと思います。

食への考え方、生活スタイル、体質など、人それぞれに考え方があって当然だと思います。
より多くの知識を持って、ご自身に合う選択をしていただき、読んでいただいている皆さんが少しでも ”おいしく” ”楽しく” ”豊か” になっていただければ幸いに思います。
以下に、栽培別の特徴を表にしたものがあります。
本章では説明しきれなかった項目もありますが、続編にて順次解説していきます。

栽培方法が違うと野菜も違う 終わり
2016.2 ryohei